令和5年度著作権セミナーを受けてのAIと著作権まとめ
先日、文化庁主催の和5年度著作権セミナー「AIと著作権」が行われ、アーカイブも公開されました。すでに周知だった部分も、今回始めて見解が示された部分もあり、ウェビナーを受け、気になるトピックをまとめまてみました。
資料及び、セミナーのアーカイブ
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/93903601.html
著作権法の基本的な考え方
著作権法は、著作者の権利を保護しつつ、著作物の公正な利用を促進し、文化の発展に寄与することを目指したもの。著作権法が保護するのは「創作的に表現されたもの」であり、単なるデータや事実、ありふれた表現、表現とは言えないアイディアなどは保護の対象には含まれない。
これには、作風 画風も含まれており、作風 画風は著作権の対象から外れています。 画風は著作権で保護せず 類似した画風で絵を描くことは自由とされています。
著作権侵害の要件
著作権侵害が成立するためには、「類似性」と「依拠性」の両方が必要とされおり、「類似性」が認められ、さらに「依拠性」があるか?と言う順番でチェックが行われます。類似性とは、後発の作品が既存の著作物と同一または類似していることを指し、依拠性とは、既存の著作物に接してそれを自己の作品の中に用いることを指しています。
類似性の判断ポイント
・共通部分は表現かアイデアか単なる事実か?
・ストーリーが共通していた場合、類似性は認められない
依拠性の判断ポイント
・既存の著作物を知っていたかどうか?制作者が既存の著作物と接する可能性があるか?有名な作品だっかどうかで認定する場合が多い
・同一性の程度も見られる、顕著な類似性があれば依拠性が認められる
・生成した時期も見られる
AIと著作権については段階的に検討する必要がある
生成・利用段階
AI学習については、思想又は、感情の享受を目的としない場合、「著作権許諾は必要ない」。ただしある特定の要素を抽出し、利用する場合や著作権者の利益を不当に害する場合、法第30条の4は適応されないが、最終的には法第30条の4が適応されるか否かは、司法の判断で、個別具体で判断される。
生成・利用段階
AIを利用しても、人が作成しても通常の場合と同様に判断される。AIに生成すれば権利クリアでは無く、類似性・依拠性が認められれば、著作権侵害となる。※作風や画風のみ似ている場合、類似性には当たらない。
私的に鑑賞するための利用は、権利制限規定のため、著作権侵害とはならないが、生成した画像をアップロードして公表や販売する場合は、権利制限規定に多くは該当しない。
生成AIを利用する場合の注意点
・公衆送信・譲渡等が権利制限規定に該当するかをチェック
・既存の著作物との類似性をチェック
類似性がある場合は、利用をやめる、許諾を取る、手を加えて侵害しないようにする
AI生成物は著作物にあたるか?
人がAIを道具として使用(創作意図、創作的寄与があるか?)したかで著作権付与が決まる。
創作意図は、なんらかを作ろうとした場合発生する、創作的寄与はまだ議論が必要でラインはまだ議論中。
今後AIと著作権はどうなる?
まだまだ議論は続くものと思われますが少しずつでもクリアになっていくと良いなと思います。色々と情報をアップデートし、クリアでAIがフル活用できる体制ができるとイノベーションもまた更に加速していくと期待しています。