Higgsfield AIのカメラモーション「BULLET TIME」を試す|最新AIで実験 Vol.20

AI CREATIVE BASEが探求する最新の生成AIツールや機能を試す実験シリーズ。完成作品だけでなく、試行錯誤の過程も包み隠さず公開します。クリエイターの視点でAIツールの可能性を探り、その実用性と表現の幅を検証していきます。
今回は、AIプラットフォーム「Higgsfield AI」に搭載された時間凍結と回り込み視点の融合「BULLET TIME」エフェクトに挑戦しました。映画やアクションシーンでおなじみの”時間が止まったかのようなスローモーション”を、ビジュアルインフルエンサーの世界観に落とし込んだらどうなるのか——その表現力を試してみます。
使用素材
今回使用したのは、AIインフルエンサー「おむすびちゃん」のビジュアル画像。背景は近未来の美術館、モノクロのアヴァンギャルドな衣装をまとったおむすびちゃんが、破片と光の交錯する中でダイナミックなポーズを決めています。静止画の時点でも、すでに”動きの途中を切り取った一瞬”のような構成ができており、BULLET TIMEとの相性は抜群の素材です。

出力結果
初回の生成では、被写体・背景・破片の構成は再現されていましたが、動きの”凍結感”がやや弱く、髪や衣装の躍動が伝わりにくい仕上がりになりました。また、カメラの動きが水平スライドに留まり、「回り込むような視点変化」が再現されていないため、映像の立体感が不足していました。プロンプトを調整し、再度生成を試みます。
ブラッシュアップ
2回目の生成では、髪やスカートの途中動作を「凍結中」と明示。また、破片の形や動きを不規則にし、空間全体がフリーズしたような緊張感を加えました。
その結果、髪の広がりや衣服の舞い、破片の静止感にリアリティが加わり、”時が止まった空間に主役だけがいる”というBULLET TIMEらしい構図が徐々に現れました。カメラ視点も一部で背後に回り込む動きが入り、周囲を旋回するような演出が加わったことで、没入感が向上しています。
完成作品
3回目の生成では、すべての要素が高水準で結実しました。おむすびちゃんの髪・衣装・表情・ポーズは、まさに「静止したアクション」の体現そのものであり、カメラがその一瞬を周囲からなめらかに映し出すことで、映像の中の彫刻作品のような表現が実現しました。
破片の多層的な配置、背景の光と影の演出、空気中に舞う微細な粒子すべてが、映像の”質感”を高めています。BULLET TIME特有の「静かで力強い一撃」のような美しさを再現できました。
「BULLET TIME」エフェクトは、瞬間の動きを止める美しさを引き出すAI演出手法として非常に優秀でした。被写体の存在感と背景のダイナミズムを対比させながら、動きと静止が同時に存在する”映像の矛盾”を成立させられる点は、特にアート的な映像やブランディング施策において有効だ、と感じます。
この技術は、ファッションブランドのビジュアルプロモーション、バーチャルライブのハイライト演出、ゲームコンテンツの登場シーン、スポーツシーンの印象的な切り取りなど、幅広く活用が期待できるでしょう。
今後も、Higgsfield AIのポテンシャルを探っていきます。
引き続き、お楽しみください。