Higgsfield AIのカメラモーション「THROUGH OBJECT OUT」を試す|最新AIで実験 Vol.45

AI CREATIVE BASEが探求する最新の生成AIツールや機能を試す実験シリーズ。完成作品だけでなく、試行錯誤の過程も包み隠さず公開します。クリエイターの視点でAIツールの可能性を探り、その実用性と表現の幅を検証していきます。
今回は、AIプラットフォーム「Higgsfield AI」のカメラモーション「THROUGH OBJECT OUT」を使った演出に挑戦しました。
「THROUGH OBJECT OUT」は、カメラが被写体の前にあるオブジェクトを通過して背後の世界へと移動していくという、非常に印象的な動きを生むトランジション演出です。見る者の視点が制限から解放されるような感覚を与え、場面の転換に深みと驚きをもたらします。
使用素材
今回使用したのは、SF的な空間に座り、水晶のような球体を手にしたおむすびちゃんのポートレート画像です。タイトな黒の衣装に身を包み、未来的なアーチのトンネルを背景に、正面から静かにこちらを見つめています。彼女の手元にある球体が、「THROUGH OBJECT OUT」の“通過対象”として中心に据えられる構図です。

出力結果
生成された動画では、冒頭、椅子に座り水晶球を手にしたおむすびちゃんが正面に映し出されます。カメラはその球体にフォーカスしながらじわじわと寄っていき、まるで球の中に吸い込まれるような視覚演出が発生します。中盤では、カメラがオブジェクトを“通過”していくような映像遷移が行われ、球体の中に反射していた世界が反転しながら別の空間へと切り替わっていきます。被写体の姿は徐々に見えなくなり、最終的には回廊空間が広がり、その奥には白く光る開けた出口が出現します。
物理的な移動ではなく、視覚的な通過と変化を使って「場所」や「視点」を一気に転換するこのエフェクトは、シーン転換だけでなく、時間や意識の移行を象徴的に表現する手段として非常に効果的に機能していました。
「THROUGH OBJECT OUT」エフェクトは、映像に一瞬の“突破”を生むことで、視覚的な驚きと心理的変化を同時に喚起することができます。今回は球体を通過する演出でしたが、ドアや鏡、液体、煙など、あらゆる“面”や“境界”に応用が可能です。特に、密閉感のあるショットから別世界へ抜け出すような使い方は、視覚的にも感情的にも印象深い体験をつくることができます。
この技術は、物語の転換点やシーンの移行を視覚的に印象づけたい映像、例えばプロモーション映像やアートムービー、またはXRコンテンツの没入開始シーンなど、幅広いジャンルでの活用が期待できるでしょう。
今後も、Higgsfield AIのポテンシャルを探っていきます。
引き続き、お楽しみください。