PixVerseの「物悲しい抱擁」エフェクトを試す|最新AIで実験 Vol.50

AI CREATIVE BASEが探求する最新の生成AIツールや機能を試す実験シリーズ。完成作品だけでなく、試行錯誤の過程も包み隠さず公開します。クリエイターの視点でAIツールの可能性を探り、その実用性と表現の幅を検証していきます。
今回は、PixVerseの「物悲しい抱擁」エフェクトに挑戦します。テンプレートのコンセプトは「漆黒の翼が広がり、堕天使の昇天」。哀しみと神秘をたたえた存在が天に召されるような、詩的かつ静謐な表現が魅力のテンプレートです。
使用素材
AIインフルエンサー「おむすびちゃん」のポートレートです。舞台は、色あせたステンドグラスの光が差し込む廃教会の内部。おむすびちゃんは黒いレースの衣装を身にまとい、正面を見つめながら佇んでいます。ボブヘアのシルエットが柔らかい光に照らされ、陰影の中に浮かび上がる表情は、まるで何かを受け入れたあとに訪れる静けさを感じさせます。構図は上半身にフォーカスされ、背景にぼやけた聖像のガラスが印象的なアクセントになっています。

出力結果
生成された動画は、教会の静寂をそのまま切り取ったような1カットから始まります。おむすびちゃんは一切動かず、目を閉じることもなく、ただ静かに画面の中心に存在しています。
やがて彼女の背後に、漆黒の翼がゆっくりと現れ、ゆらめくように広がっていきます。羽ばたくことはありません。ただ「広がる」だけのその動きが、逆に昇天の儀式のような荘厳さを感じさせます。羽の質感は細やかで、風の音や呼吸を思わせるような繊細な効果音と共に、映像に深みを加えています。
「物悲しい抱擁」エフェクトは、動きの少なさと表情の繊細さを活かし、静の中にある劇的な瞬間を映像化するテンプレートです。堕天使というコンセプトにふさわしい、失われたものの尊さや、終わりの美しさを感じさせる仕上がりとなっています。
この技術は、バラード系ミュージックビデオの演出、スピリチュアル系のショートムービー、ゴシック・ファンタジーをテーマにした広告やPV、または感情表現を重視するポートレート映像作品など、多彩なジャンルでの活用が期待できるでしょう。
次回も、PixVerseのポテンシャルを探っていきます。
引き続き、お楽しみください。